断熱に関する考え方   断熱材   補足(屋根の断熱)
優設計事務所トップページへ
1.断熱に関する考え方

近年、外断熱工法に関する関心が非常に高まってきているようです。いろいろな著作物も出版されています。
しかし、多くは問題のある内断熱工法の対局にある断熱工法として外断熱を勧めているもののように見受けられます。
果たして、高気密・高断熱の外断熱工法のみがベストな断熱工法なのでしょうか?
私は、「適材適所」は人材だけでなく建材にも言えることだと思います。
その土地の気候によってもベストな材料、工法は異なってくると思いますし、一概にひとつの方法のみを良しとする現在の風潮には違和感を感じます。

では、どのような断熱工法が望ましいのでしょうか?
私は、自然に逆らわず、自然の持つ力を逆に取り込んでいくことが大事ではないかと考えます。
イソップの「太陽と北風」の寓話をご存じでしょう。強制力を働かそうとするより自然に任せた方が良い効果が上がるのは自然と人間の立場が逆転しても同じだと思います。

内断熱で問題と言われているのは、ある種の断熱材の特性によって壁の内部に詰め込まれた断熱材の吸放湿性が低いために、内部に入り込んだ湿気が外の冷たい空気に触れて結露してしまい、それを原因とするカビの発生や、断熱材そのものの変質や水分の重みによる内部密度の不均等がもたらす断熱効果の喪失などの事象です。
一方、最近評価の上がっている外断熱とは、外壁の外側を板状の断熱材ですっぽりと包み、内壁と外壁の間の温度差をなくすことで結露を防止する工法です。家の外壁さえも包み込むため外の空気を遮断することになり、高気密工法とも言われます。
言い方を変えれば、高気密とは空気の流れそのものをシャットアウトしてしまうことによって内部の温度と湿度の変化を抑えようとする工法です。
やり方によっては、外壁と断熱材との間に通気層を設けることによって多少の空気の流れを確保する方法もありますが、基本的に内断熱に比べれば家の外壁は外の自然と隔絶された状態になります。
それに加えて、接地面での処理がシロアリ対策としてもまだ不十分なのが現状です。

家を人に置き換えると、多く用いられている内断熱の家は、通気性の悪い服を直接肌の上に着ているようなものです。汗をかくと服が吸い取りきれず冷えて風邪をひきかねません。高気密の家は、汗をかいても冷えないように人ごとカプセルに閉じこめられているようなものです。想像してみてください、なんだか息苦しくて目を回しそうですね。
冷たい空気は遮って、なおかつ汗をかいても吸い取って放出してくれる服を着ることができれば快適だと思いませんか?

では、私が採用している断熱材とその工法(内断熱)についてご紹介します。

・・・
2.断熱材

断熱とはそもそもどういうことでしょうか?
暑い季節には太陽の光で熱くなった外壁や屋根の熱を内部にまで入れないことであり、寒い季節には暖められた室内の熱を外の冷たい空気から守るということですね。
しかし、日本的な気候では暑い季節には空気中に多くの水蒸気を含み単に暑いだけでなくじっとり「蒸し暑い」状態になりますし、冬は外と中の気温差がかなり大きくなりますので外と中の境界(例えばガラス窓など)に結露することが多くなります。通常温度差が10度以上だと結露しやすくなると言われています。
断熱材で最も重要なのは、断熱性能そのものよりもこの湿度を調節する「調湿機能」なのです。

ダンパック
ダンパックは内断熱工法用の断熱材です。
ダンボールのような紙材をベースとしたセルロースファイバーで、人体に無害なホウ酸系の防虫剤を混入してあり、糊と一緒に壁の内部(外壁の内側)に機械で吹き付けます。見た目はふわふわとしたクッション剤のようですが、糊を混ぜ込んであるため一旦吹き付けると固定されます。
特徴として次のような点があります。
断熱効果
吸放湿効果
防音効果
防虫効果
特に、「断熱に関する考え方」で述べたような調湿機能に優れていますので壁内部の結露の心配はほとんどありません。
しかも、自然素材ですのである程度の通気性もあり、内壁の珪藻土仕上げと組み合わせれば「なんとなく息苦しい」感じも全くないでしょう。
実践的に作った私の家ももう4年経っており、ときどき点検しますが全く問題は出ていませんし、快適です。

シージングボード(インシュレーションボード)
南国宮崎では、上記のダンパックのみの断熱で十分だと言えますが、もう少し断熱性を強化したい場合、または、冬に特に寒い地域で内外の温度差が激しい場合などは、ダンパックにシージングボードを組み合わせる試みも実施しています。
シージングボードとは、ダンパックと同様、セルロースファイバーを原料としていますが、これを板状に固めてあるものです。最近はその断熱性、吸衝撃性を生かして畳の裏素材としても使われています。
特徴として次のような点があります。
断熱効果
吸放湿効果(ダンパックには劣ります)
防音効果
吸衝撃効果
ダンパックと組み合わせる場合は、ダンパックの外側(外壁との間)に挟み込み、ダンパック部分と外気との間を断熱することにより、温度差を緩和し、内部結露でダンパックに無理な負荷(水分の過剰な吸収)をかけないことを目的に施工します。
防音効果にも優れるため、楽器や歌の練習などを楽しむ方にも向いているでしょう。

補足:屋根の断熱

太陽の熱が最も吸収される屋根には、断熱材以外に特別な工法を施します。
こうして(写真)垂木の上に野地板を張り、また垂木を載せて野地板を張ることで、その間隙に流動的な空気層を作り出し、熱をすばやく外に逃がすことができるようになります。また杉板そのものが断熱材の働きもします。
「優さん語る」に 同様の記載あり