このコラムは宮崎中央新聞に連載されたものです。
 
  太陽と仲良くできる家 思いやりや気配りの心を育てる家
  風と仲良く遊べる家 先祖やお年寄りを大事にできる家
  家族が仲良く暮らせる家 隣の人、その隣の人を大事にできる家
  お父さんが元気に働ける家 「親子断絶の階段」が玄関にない家
  お母さんが楽しく働ける家 玄関でおもてなしができる家
  ●美しく歳を重ねる家  
 
 

 江戸時代に建てられたという家がテレビで放映されていた。もうすぐ壊されるのだそうだ。「維持費と修繕費に金がかかりすぎるんです」とその家に住む老人が淋しそうに話していた。住みなれた家がなくなる淋しさもさることながら、代々その家に住んできた先祖の人たちの生きた証がなくなることの淋しさをその老人は感じていたように思われた。

 子供の頃、我が家の仏壇にいつも供えられているお供え物を見ながら、亡くなった祖父母のことを親に聞いたことがある。考えてみると、人は亡くなっていても、その人たちの生きた証は確かにその家の所々に残っている。仏壇にお供え物をするということは亡くなった先祖と今生きている自分とをつなぐことなのかもしれない。

 幸い今の我が家にも仏壇がある。そして朝の初水とご飯を供えるという習慣は、今では自然と子供たちにも受け継がれている。「見えない家族」の存在は、子育てをする環境としては大切なことだと私は思っている。

 家をつくる時、きちんと仏壇が置ける部屋をつくる。あるいはおじいちゃんおばあちゃんが遊びに来た時に泊まる部屋をつくっておく。子供にもそのことをきちんと伝える。そうすると、同居していなくても祖父母の存在は、ちゃんと子どもの心に植え付けられる。

 自分が家をつくる時は、自分の老いた時、死んだ時のことを想像しながらつくりたいものだ。

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