このコラムは宮崎中央新聞に連載されたものです。
 
  太陽と仲良くできる家 思いやりや気配りの心を育てる家
  風と仲良く遊べる家 先祖やお年寄りを大事にできる家
  家族が仲良く暮らせる家 隣の人、その隣の人を大事にできる家
  お父さんが元気に働ける家 「親子断絶の階段」が玄関にない家
  お母さんが楽しく働ける家 玄関でおもてなしができる家
  ●美しく歳を重ねる家  
 
 

 子供の頃、玄関で近所の人が上がり框に座ってお茶を飲んで話し込んでいたことを思い出す。日本の農家の家の特徴の一つ、「上がり框」はちょうど椅子の高さになっているので、誰か親しい人が訪ねてきて、「まぁお茶でも一杯…」となった時でもお客さんはわざわざ履物を脱ぐがなくていい。

 玄関とは、唯一他人が入ってこれる空間だ。そこで軽いもてなしができる農家の家のつくりに他人に対する温かさを感じる。最近はただ入り口としての機能しかないため、そこでもてなすというつくりにはなっていない。物騒な世の中になったということもあるかもしれないが、江戸時代の関所のように、この人は家の中に入れていいか、いけないかを判断する場所だ。

 最近、バリアフリーの考え方が根付いてきて、車椅子が出入りできるように段差をなくした広い空間になっている玄関が増えてきた。だが、そこをもう一歩踏み込んで、お年寄りや障害者だけのバリアフリーではなく、隣近所の人とのバリアフリーにするために、玄関で軽いおもてなしができるように工夫すると玄関も楽しい空間になるだろう。

 よく「駅や空港は町の玄関」と言われる。訪問客の第一印象はまず玄関である。もてなしの心が伝わるような優しい雰囲気の玄関だと、宅配便のようにちょっとした要件で訪ねてきた人でもいい気分にしてくれるに違いない。

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