このコラムは宮崎中央新聞に連載されたものです。
 
  太陽と仲良くできる家 思いやりや気配りの心を育てる家
  風と仲良く遊べる家 先祖やお年寄りを大事にできる家
  家族が仲良く暮らせる家 隣の人、その隣の人を大事にできる家
  お父さんが元気に働ける家 「親子断絶の階段」が玄関にない家
  お母さんが楽しく働ける家 玄関でおもてなしができる家
  ●美しく歳を重ねる家  
 
 

 以前家を設計させていただいた家の奥さんからこんな話を聞いた。中学三年生の長男が夏休み頃から反抗期になった。その家は二階が子ども部屋で居間を通って二階に上がるように設計してあったので、「子どもが今帰ったとか、今出ていったとか分かったし、何を話すわけではないけれども今日は穏やかな顔をしているとか、今日は険しい顔をしているとか、子どもの様子が分かったので安心でした」と。

 子どもがいる家庭では二階を子ども部屋にしている家が多い。私は二階建ての家を設計するとき、「二階へは居間を通っていくように階段を作ったらいいですよ」と施主に提案している。玄関を開けてすぐ階段があると、時として子どもはすぐ二階へ直行し、いつ帰ったのか、いつ出ていったのか親が気づかない場合がある。こういうとき、階段は「親子断絶の階段」になりやすい。別段かまえて思春期を迎えた子どもと会話を交わさなくても、子どもの様子が見て取れる空間があることが大事だ。そういう意味で家づくりというものは、家族を仲良くさせたり、安心感を与えるための仕掛けるにもなり得る。

 最近は、各部屋にテレビ、ビデオ、エアコン、電話などが完備していて、ややもすると個室での生活に事足りてしまう。だからこそ意識して家族がコミュニケーションできる仕掛けが必要だ。家づくりと家族の幸せをどこまで結びつけられるか分からないが、家を造るものとしては、自分の設計した家に住んでいる家族が幸せに暮らしているのを見たり、聴いたりすると、ほっとするものである。

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